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DR・エピローグ
あれれぇ――? と。ある日の昼下がりのこと。
月が出ていない時間でも、前夜から残っていることもあるその幻は、心から不思議そうな白い顔付きで首を傾げた。
「おかしいなぁ。鶫ちゃん達の心は、貰えそうにないなぁ?」
白い何かは、現在の居場所をとても気に入っている。
「もしやスカイちゃんに先越された? もう――あの子も本当、過保護なんだから。やっぱり追い出すべきじゃなかったかなぁ」
本来は住処でなかった瑠璃色の器へ、あるキッカケで移れた何か。それはいつもなら、元の住人を追い出すか、消し化えるのが定石だったが――居候であれば共存できる状態にあった。
「キラ君ばかり使っちゃ可哀相なのにな。まぁキラ君、私とは相性抜群だし、とても美味しいから私はいいんだけど?」
さらにはこの住処には、引きこもりを定められた何かも、外に出られる奇跡があった。その幻で、まさに新生活を謳歌している何かだった。
「あのコはどうしたいのかな。私を追い出したいか、それとも私に助けてほしいのか」
元の住人、もしくは目前の誰かの求める相手になり切ることを、何かは性としている。だから全ては対峙者次第、と白く微笑む。
「せっかくだから……この住処はしっかり、守らなきゃなぁ」
そのためであれば、多少の詐欺も構わない、とそれは笑った。
「あのコの敵を……君の妹の敵を、殺してね? キラ君」
そしてそれは、誰かの大切な何かを――白く塗り替え続ける。
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