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「御所のみんなは、クアン君達みたいにそのままいいヒトだよ。でもくーちゃんは……それだけじゃない感じ」
その正体が未だ掴めない、とラピは当惑顔だ。対人観察が趣味のラピには珍しい姿でもあった。
「意味わかんない。あたしはどいつも、話しか聞いたことないし」
これまで何度も、ラピはジパングの友達についてニコニコと語った。今日も改めて水華に熱く口にする。
「みんなホントに、優しい化け物の子供さん達って感じだよ」
人間であるラピの周囲には、何故か人間がいないという。水華のみならず、水華の義兄姉である養父母も、ジパングに住んでから出会った友人達も。
「みんな、御所の管理者の烏丸さん一族だけど、蒼潤君は剣士だから、着物の袖が邪魔って破いちゃってるんだ。髪の毛が珍しい夕陽色でね、顔はいつもブアイソで、男は無言でみんなを守る! みたいな雰囲気がかっこいーの。お父さんより師匠の幻次さん似なんだって」
「へー」
「剣も凄いよ、剣の修行が命って感じで道場破りとか余裕だよ。水華といっぺん、いつか闘ってみてくれないかなぁ♪」
「へー」
誠意のない返事の水華は、幼少から剣を仕込まれている。しかし現在は専ら魔法使いなので興味がなかった。
「幻次さんの娘で、蒼潤君の従妹が鶫ちゃんで、着物なのに身のこなしが軽くて、でも凛とした落ち着いた貴族さんなんだぁ。ジパングでは珍しく髪も短いし赤色だし、目が鋭いからきつく見えることもあるけど、可愛いし凄く優しいし、理想的な女の子なんだよ♪」
「ふーん?」
「その上武術もいけるし、呪術って魔法も使えるし。内緒だけど、実は銃の使い手で、私にも教えてくれるけど全然敵わないよ。大体何でもできるんだよね、鶫ちゃんって」
「……へー」
ちらりと今度は、ラピを見返す水華だった。
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