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目を覚ましたものの、少年の体調はまだ万全でないとわかる公家は追求をやめ、困ったように笑って結論を告げた。
「とはいえ、事が事じゃから、罰は受けてもらうがのう?」
「――当たり前だ」
はっと顔を上げる。どうして当たり前のことを、公家はわざわざ、優しい笑顔で告げるのだろう。
まるで、その罰を与えるのは不本意と言わんばかりだ。それではますます、公家の立場が悪くなってしまう。
「お主の保護監察期間は延長じゃ。当面は期限の無いままに、御所で引き続き衛兵見習いをしてもらう」
「……」
それでは駄目だ。ヒト殺しの少年を放置すれば、公家と山科の一家以外、他に御所に住まう誰もが納得いかないだろう。
――オレ、ここにはいたくない。
御所に最初に来た頃と同じに、自分を追い出すべきだと目線で訴える。
どんな事情があったとしても、公家にいか程迷惑をかけたか、少年は自分でわかっている。
おそらくは、それをも感じ取っている公家は、だから躊躇うことなく、ある厳罰を少年に伝えた。
「それと今後、おぬしには一切、自由に行動してもらうわけにはいかぬ――」
本当は人間でないものの血をひく、公家達の家に伝わる深い業。
それを全て、少年は受け入れると決めた。
受け入れたところで、少年の咎がなんら変わるわけでもないが、この呪いが後々のヒト殺しの運命を決めることを少年はまだ知らない。
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