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「ああ、そーだな。俺も『守護者』の相方みたいなもんだし、頼也の宝珠は日頃、こうして預かってるけどな」 「……天のヒトじゃなくても、持っててもいいのか?」  その「宝珠」――世界の五大要素たる「力」を預かる「守護者」とは、この「宝界」の陰なる守り手だと、少し前に少年は聴いていた。  だから自称死神、もしくは吸血鬼の青年について、不思議そうにする。 「あの悪魔憑きの女の、主なんかは……『魔』になったから、守護者になれなかったんだろ?」  天の民だったという姫君の話した、天を支配する「五つの家」。それは、五つの「宝珠」の守り手のことだと。勘の良い少年は現状をあっさり関連付けて捉えていた。 「まあ、そうらしいな。俺も頼也から、さらっと聞いただけだけどな」  そこまでわかって話す少年に、師もあえて隠し立ての必要を感じなかったらしく、当たり前のように話を続ける。 「それなら……」 「ま、その時その時で、色んな事情があったんだろうさ。アラスは確かに魔物だし、ずっとフラフラはしてるけど、悪い奴じゃねぇんだよ」  いい奴とも言い難いがな、と師が笑う。その吸血鬼――出自が「魔」である者は、それでも信頼する仲間のようだった。 「そうだな。ユーオンとアイツ、迷子っぽい所が何か似てるぜ」  どっちも耳、尖ってるし。など、どうでもいい共通点もあげる。首を傾げる少年に、師はまたも笑うのだった。  五つの宝珠と、五人の守り手。  元は天空の島に在ったという、旧き天上人の最大の「宝」。  今は花の御所の公家達のように、各地にひっそりと守り手は暮らしていると、後に訪ねた占い師に少年は聞く。 「その宝石を守るために、ゲンジ達は『魔』と戦ったのか?」 「十四年位前は、多少はな。アイツとの付き合いもそこからだな」 「今はもう、戦うことはないのか?」 「さぁなー。今まではわりと平和だったが、クラルん所とかは、宝珠に関係ないトラブルも多少はあったし」  更に別の「守護者」の名を出した後で、剣の師は考え込む。 「特にアラスは……何か現在進行形で、宝珠関係のゴタゴタに巻き込まれてるかもしれねぇ。何か様子変なんだよ、アイツ」 「……?」  東の大陸で最近、その青年は大怪我をしたらしい。その後から剣の師や公家に対し、ある変化を見せているという。
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