夕暮れ色に溶けていく

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********** ホームに降りた途端に、ざっと風が吹き抜けた。 雑踏に揉まれたくなくて一番最後に降りたのに、ホームは先に電車を降りた人、今から乗る人でごった返している。 階段に向かっていく人の流れからうまく抜け出して、ホームの真ん中に立った。 並んだベンチ、続けてその奥にジュースの自動販売機。 懐かしいな。 この駅に降りるのは何年ぶりだろう。 余り変わっていない風景に、少しだけ安堵する。 駅舎の老朽化で改装が行われたり、駅ビル併設のためにブルーシートがかけられたりと、主要な駅の風景が変わっていく中、ここは七年前とほぼ変わらない。 向こうに見えるトイレが綺麗になっているくらいだろうか。 大学で地元を離れそのまま向こうで就職してから年に一度はここに帰ってきたけれど、高校卒業以来この駅に立ち寄ることはなかった。 母校に一番近い駅。 ここであった様々なことが脳裏に鮮やかに蘇る。 さっきより人の少なくなった階段をゆっくり昇り、改札に向かった。 あの頃定期を翳していたゲートが、今日は差し出した切符を飲み込んで、外へ続く小さな門を開いた。 改札を出たら、自然に足がある場所に向く。 七年経った今も体に染み付いてる……それに気が付いて、ふっと頬が緩んだ。
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