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「もう一週間も一緒に寝てへんねんからな!今晩こそ寝てくれへんのやったら……マッパで大の字になって廊下で寝たる!」
「まったく……風邪を引きたいのか?」
呆れている慎之助少年の袖を、千聖と呼ばれた少年が引っ張り見上げる。
「風邪引かんように……温めてぇや…俺かって毎日一人寝は寂しいんやからな…」
「………誰だっ!!」
慎之助が困った顔から険しい顔で天井を見上げた。
「今、誰かがいた!」
「何が天井におんねん!もうええわ!今日はもう廊下で寝たるさかいな!慎之助は一人寂し~部屋で寝ぇ!」
千聖がさらに怒り横を向いた。
「はあ……今晩……一緒に寝るから、裸で外をウロウロするな」
「ほんま?なあ、ほんまにほんまやで?約束やからな。俺、今日は風呂でピッカピカにしとくさかいな……なっ!なあ~?慎之助ぇ」
「……わかった」
千聖は飛び上がって喜び慎之助に抱きつくと、図書委員の仕事へと走って行った。
「まったく……理性を保つ身にもなって欲しいものだ。しかし先程の気配はいったい…何かがいた。恐ろしいくらいの邪念に満ちた何かが……」
慎之助はまた天井を凝視する。
「この学校に簡単に侵入できる人間はまずいないが……一応報告だけしておこう」
辺りには誰の気配も感じないことを確認し、改めて気を引き締め、階段を降りていった。
その頃―――
いつものレザーのレスリングウエアに、手作りの新妻フリルエプロン姿の三斉流武男先生が、エプロンのフリルについて相談しようと、同僚の玉袋慰成麿先生を探し別の廊下を歩いていた。
「玉袋先生に、エプロンのペアルックには何色がいいか聞いてもらおう。おそらく肌に近い色が好みだろうと思うが……」
ほんのり頬を染め、鼻の穴を拡げスキップしそうになった……まさにその時……
「ん?何の臭い…うっ……」
ぷぅ~んと鼻につく臭いを頭上より感じると思った瞬間、何かが三斉流先生の鼻と口を塞いだ。
「ぐはっ…くさ…い……やめ……ぐふうぅぅ……」
鼻腔の奥の奥まで、脳天をつんざくような刺激を感じながら、三斉流先生の意識はここで途切れた……
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