~*据え膳食わぬは男の恥 *~

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「タケは……今まで誰かと付き合ったことある?」 「残念ながら、ないな」 「僕はあるよ…」 「そうか……」 あまりに淡白な返答に、残念そうに悲しい瞳を見せる包の腰を、三斉流先生は抱く。 「ほのかな恋心を抱いた相手はいた。恋心とは気づかなかったが……転校してしまったからな。あの当時の体重は120㌔以上あったかな」 コツリとそんな包の額へと自分の額をつける。 「再会した時は、一瞬迷ったが……キラキラと星が入った目は変わっていなかった」 「ぶふふふっ……目に星が入ってる?」 「私の目には昔からそう見えていた。今も、私にはそう見えている」 包は唇をそっと重ねた。 「付き合ったことあるけど、誰ともうまくいかなかったんだ。キスする気にもなれなくて……初めてした」 「それは光栄だ」 三斉流先生はさらに包の腰を持ち引き寄せる。 「だが私は……その……全てが初めてのため、何をすればいいのだ?」 「僕も初めてだからね。Qさんが初歩的マニュアル本を一時間で作ってくれた。お宝フォルダに保存していた画像を使ったらしい。色々ひっかかるといけないから、僕達しか見ちゃいけない代物だ」 包はベッドの枕の下から分厚いファイルを引っ張り出した。 【“雄達の生交尾”  種付け成功への道 『しごけ!しゃぶれ!舐め尽くせ! 目の前の穴を塞がずして、国は守れず』 『スムーズな挿入への鍵は?』】 「……今日中に読めるように思えん」 「僕は来る道中で5回速読した…あと、Qさんから最重要事項として『ムード作りと前戯の重要性』を常日頃から聞いていたからね」 「蛸なのに……人間に詳しすぎる」 圧倒されている三斉流先生に包は唇を寄せる。 「Qさんが言ったんだ。『己の無防備な尻を預けられる相手がいることは幸せだ』って。僕の尻をタケに預ける」
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