エピソード1

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「よーし、 全員集合したか?!」 と顧問の新山先生の野太い声が外から聞こえる。 時間は、 16時。 この時間になるとバスケ部は、 校舎の外を走るためいつも集まる。 美術室は、 1階のため、 バスケ部の動きが良く見えるし、 この窓際の席は、 ある意味ベストポジションだ。 20人近くいる部員の中に、 栗田君がいた。 クラスでは、 背丈など目立たない彼だけれど、 背の高い人が多いバスケ部の中だと少し小さく見える。 それに、 ワックスで少し立たせた髪と肩幅が広い彼の後姿はすぐにわかる。 『あっ、 いた』 後ろ姿だけれど、 見れることが私には、 幸せ。 『また、 バスケの試合見たいな』 そんなことを思いながら、 私は「よーい、 どん!」の声で走り出す彼の姿を見送った。
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