『スティールハート』

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……… それから数時間後、データを採取し無事に任務を完了した俺は、アークス上層部に達成報告をし、フェオの重要人隔離エリアへと戻ってきていた。 時刻は正午前といったところか、適度に動いたところで腹も空いたな。ここいらで飯にでもするかね。 この隔離エリアのところにもいくつかお食事処があるが、俺はその中でも、普段よく通っている店に足を運んだ。 場所はこのエリアでも少しばかり目立たない位置にある。そのせいか、ランチタイムでも店内の客層は比較的少ない。 隔離エリアっていう場所が場所だしな。利用するのは精々俺みたいな訳ありものか、このエリアで働く公務員さんってところだろう。 だが俺にとっては静かに飯が食える場所として中々ありがたい場所だった。 店内は少し狭いが、シンプルな構造でそれなりに小奇麗にされている。 飯を食うだけなら、まったくもって問題ない場所だ。 店にたどり着き、早速店内に入ったところで、俺は適当に空いている席に座って、テーブルの端に無造作に置いてあるビジフォンを操作し、注文としてピザを頼む。 戦闘服のままだが、別に大して珍しくもなんともない。アークス関係者も利用するんだから、こういう外見の客が来るのはもはや茶飯事のことだからな。 さてさてと、待っている間はいつも吸っているモクで時間を潰させてもらう。 当然ここは喫煙席だ。近くの席にも客はだれもいねぇ。誰の迷惑もかけず喫煙を嗜むというのが、快く喫煙を楽しむマナーというもんだ。 最近そういや、フリエラの奴がキスの味が悪くなるから控えて欲しい、なんて可愛らしい事を言ってたな。 とはいえ、これでも喫煙者の中でもかなり少ないほうだとは思うんだが、モクのメーカーを変えてみるべきかね? まぁいい、ポーチから取り出した煙草のケースから早速1本取り出して、それを口に咥えたところで火を点け…… ……あら? ………ライターが…ねぇ。 っかしいな。いくらポーチの中やポケットをまさぐり回しても、どこにもねぇ。くっそ、もしやさっきの任務でどこかに忘れてきちまったか? まいったぜ、喫煙席だが生憎とこの席にはマッチなんてねぇしなぁ。 あ~くそう、こういうことは一番萎えるぜ。やれやれ…今日は少しばかりツキがねぇな。
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