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『ちょ!ちょちょ待てよぉ!!お、俺は別にあんたの稼ぎを横取りしようってわけじゃ…!』
何もんだと聞いて間入れずに返ってきた答えの内容は弁解だった。慌てふためくような口調で言っているが、とりあえずこっちが聞いている質問の答えをちゃんと言ってもらわねぇとな。
腕にグッと力を込めて、もう一度ちゃんとした答えを出せと促す。腕に力を込めた時、一瞬奴さんの口から息が漏れたな。
キャストでも首を締められれば結構きついってことか。まぁだからと言って、拘束している腕の力を緩める気はないがな。
『…お、俺はしがない傭兵さ!ここいらのレアメタル発掘区域が企業の独占が掛かる前に一山稼ぎに来ただけなんだよぉ!』
…なるほど、相変わらずの口調で胡散臭い感じはするが、嘘は言っていないようだ。
そういった奴も物珍しくないからな。企業の独占がかかってしまう前に、その区域からまるで火事場泥棒のようにレアメタルを堀上げ、換金レートがクソ高い時期に一儲けしようって奴が後を絶たねぇ。
『い、今言ったが!俺は別にあんたの取り分を横取りしようってわけじゃあねぇぜ!!…ていうかあんた何もんだよ!?け、気配がまるでなかったぜ!?いつの間に居たんだよ!?』
『…黙れ』
勝手に質問してきた上にやたら大声で言うもんだから、ちょいとばかり声にドスを効かせて黙らせる。効果はあったようだな。
いい具合に静かになってくれた。
とりあえず俺にとっての敵ってわけじゃない気がしてきた。
つまるところ、単なる金儲けのために、この辺り一帯にまで足を運んできたハイエナ野郎ってとこか?
『企業の依頼を受けて来たわけじゃねぇのか?』
『ち、ちげぇよぉ!俺個人で来ただけだって!頼む信じてくれよぉ!』
確認のためにした質問でもう大体は掴めた。
やれやれ、企業の依頼でもない上に、ダーカーや機甲種も多いこの危険区域で一山稼ぎにくるなんざ…とんだ銭ゲバだな。
いきなり派手な登場してきて警戒した自分がアホに思えてきた。
ため息をついて、拘束を解いてやった。
意外とあっけなく解いた上に、解いた瞬間に攻撃してくるかもしれないと警戒するもんだが、こいつにはそんな気配が微塵もなかった。
拘束を解き、ようやく自由の身となった奴さんがゆっくりとこっちに向き直る。
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