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「つーか…何で俺専属なんて…」
いくら自分が使えている月宮財閥の当主からの命令であっても、いきなりやって来た年下のガキに敬語使って執事して良いのかって俺は思う。
「私は伽倶夜様が鳴海様のご子息である事は以前から存じておりました。私の今の主は伽倶夜様、貴方様なのですよ。ですので、貴方様が当主になられる日を私は心よりお待ちしております」
その笑みが本心からか、はたまた表面上だけかはまだ分からない。
だが少なくともそう言われたからには俺なりに精一杯やるしかないと思う。
アップルパイを食い終わればすかさず手拭き用のタオルが差し出され、ベタついた手を拭き取る。
手掴みで食うのは良いが、まだ課題が残っている為とりあえず次はフォークで食べようと思う。
「…そういや、黒田って執事とか目指してンですか?」
「忍ですか…、どうでしょうね…。ですが、伽倶夜様にお仕えしたいとは本人も思っている様ですよ?」
そんな事を言われては思わず頭を掻いてしまう。
学校ですら俺の親衛隊の副隊長してんのに、家業とかでも俺に仕えたいとか…
「…なーんでアイツが俺なんかに」
「それだけ伽倶夜様が魅力あるお方なのですよ。
真っ直ぐに芯を貫く姿は尊敬に値する、と忍は言っておりました。本日のパーティーには忍も伽倶夜様の警護として付き添わせる予定です」
「は…?」
不意に言われた言葉に瞬きを数回し、剣さんを見上げれば剣さんは笑みを浮かべている。
…俺の警護って、どういう訳だよ。
つか、アイツ…最初っから俺が月宮財閥の跡取りって知ってたのか…?
「忍が伽倶夜様が月宮財閥次期当主だと知ったのはつい最近ですよ。伽倶夜様の親衛隊に所属するキッカケは貴方様自身に惹かれ、自ら入った事ですので」
剣さん、何気に読心術してンですか?
どんだけスキル高いんだよ、この人は…
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