はじまり。

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「気に入って貰えたかな?僕も飲もうっと…あちッ!」 理事長も淹れた珈琲を飲もうとしたが猫舌なのか、見事に声を漏らしていて若干涙目だった。 美晴さんの男バージョン見てるみたいだな、マジ。 美晴さんも猫舌だからよくこういった所は見てきた。 「…竹中くん、そんな笑わないでくれよ。ホントそういうの先輩に似ているね」 顔に出ていたせいか、俺を見て軽く頬を膨らませながら呟いた理事長。 先輩ってことは、俺の父親の事なんだろう。 「あ、すんません。その、理事長俺を育ててくれた人と似ててつい…」 「あー美晴さんって女性だっけ?君を立派に育ててくれたんだね」 そう言って穏やかな笑顔を浮かべた理事長。 その言葉に思わず気恥ずかしくなったりもした。 「竹中くん。最初は慣れないかもしれないけど、君にはこの学園で楽しんで貰いたい。先輩の息子を預けて貰ったからには僕も精いっぱいサポートするからね?」 「…ありがとうございます」 「ホント、君を育ててくれた美晴さんは素晴らしい人なんだね…。 あ、そろそろ君の担任の先生が来るよ。彼に教室まで案内してもらいなさい」 理事長が説明したすぐに扉を叩く音が聞こえてきた。 理事長が入るよう促すと、一人の男が入ってきた。 「…だっりぃ。理事長、帰っていいかァ?」 「そんなダメに決まってます。全く、君は…。 竹中くん。君のクラス、2-Aの担任を受け持つ北条彰(ホウジョウ アキラ)君だよ」 入ってきて早々、教師らしからぬ発言をしてきた北条彰という教師。 ボサボサ頭の黒髪で、顎には無精髭が生えていた。スーツの上から白衣を羽織っているから、一瞬保険医とかと間違えそうになる。 「あーお前が竹中か。いかにも不良丸出しだなァ…」 俺を見るなり見たまんまに言われた。 まぁ、学ラン着崩してっしピアスもつけてるから仕方ないし否定もしない。
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