811人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあとりあえず、竹中。一言どうぞ。短くだぞ、めんどいから」
北条先生から襟首を離されては前に強制的に立たせられた。
余程外部から入ってくる奴が珍しいのか、はたまた訳が分からない事を考えているのかクラスからの視線が痛い。
「……竹中伽倶哉だ。外部から来たばっかでわかんねぇ事あっけど、よろしく。
…あとよ、さっきからギャーギャーうるせぇんだよ。野郎に興奮してっとかどんだけ欲求不満だよ。
俺はな…確か、ノンケって奴だ。間違っても俺にいらん感情出すな、潰すぞ?」
適当に言うつもりだったが、いつの間にか本音が出てしまったようで。
思いっきり不良丸出しのオーラを漂わせてしまっていた。
そのせいか何人かは青ざめた表情を浮かばせている。
「…という事だ。お前ら潰されたくなかったらコイツにはいらん事言うなよ。
竹中の席は…あー、橘の後ろだな」
北条先生の言葉の中にどこかで聞き覚えがあるのがあった。
橘って確か…
「よ、伽倶哉。俺らおんなじクラスみてぇだし改めてよろしく」
俺を呼び捨てで呼ぶ奴はこの学園では一人しか居ない。
オレンジ髪と眉ピが特徴の綾が後ろの席で手を軽く振っていた。
「なんだお前ら知り合いか。なら最初から橘に任せりゃ良かった」
いや、今日知り合ったばっかだし。
どんだけ仕事やりたくねぇんだよこの担任は。
内心呟いていたがそれを口にはせず俺は綾の後ろの席へと向かった。
先程の一言のせいか、益々クラスからの視線が痛い程伝わってくるのが分かる。
「んじゃ、俺はサボっけどお前らはしっかり授業出とけよ」
生徒の前で堂々とサボり宣言をした北条先生は教室から出ていった。
そうすれば彼方此方から雑談が響き始めてくる。
最初のコメントを投稿しよう!