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「しっかし、お前あれウケるわ!
あんなおっそろしい自己紹介、生まれて初めて聞いたぜ」
前の席である綾は俺の方に身体を向けると面白そうに話しかけてきた。
「いやあれは普通だろ。まさかこんな感じとは思ってもねぇし」
「お前にとっちゃそうだろうなァ?
でも、この学園ほとんどホモかバイばっかだぜ?まさに王道学園!!」
綾がサラッと告げた事実に思わず目が点になりそうだった。
ホモかバイばっか、って流すように言うもんじゃないだろ。
「……嘘だろ、マジ」
今更だがとんでもねぇ学園に転校してきてしまった。
美晴さん、俺…マジ泣きたいわ。
「まぁ、仕方ないって事よ?
んな訳だから伽倶哉は不良受けといった素晴らしい萌を俺に提供」
「綾…潰されたいのかァ?」
「はい嘘です、冗談ですよ伽倶哉くんったらァ!」
満面の笑みで言ってみせれば見事に綾は半泣き状態になっていた。
最初から言うんじゃねぇっての、バーカ。
「ねー、キミってノンケなのに何で来た訳ェ?そんな体験したくてここまで来ちゃったァ?」
ふと言われた言葉にその声がする方に視線を向けてみれば、いつ来たのか俺の真横に立っていた。
明るめの茶髪で男にしては小柄といった体格で、声も普通の奴より少し高め。
顔もまるで女かよ、ってくらいだけど言う言葉はそれと一切かけ離れていた。
「…ちょっと訳ありでな。つか、この学園がそういうのって知らなかったんだよ」
「ふーん?僕はてっきりキミがそういうのに興味あってわざわざ来たと思ったァ。
なーんだ、面白くないのォ」
俺の答えに本当に面白くなさげにため息をついて言われた。
コイツ、顔と言ってる言葉のギャップありすぎんだろ。
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