はじまり。

3/13
前へ
/277ページ
次へ
「…ただいまー」 「おかえりなさーい…って! また喧嘩してきたの、伽倶哉くん!?」 俺の家である"竹中養護施設"に帰ってきて、出迎えられれば早々に傷の手当てをされた。 俺、竹中伽倶哉(タケナカ カグヤ)はいわゆる孤児である。 物心ついた時にはこの養護施設で暮らしていて、育ってきた。 確かにガキの頃は他のクラスの奴らと違い、親がいない事に酷く混乱していたのを覚えている。 だけど、俺を育ててくれた園長の竹中美晴(タケナカ ミハル)さんは俺を自分の子のように育ててくれた。 まるで親のように時には厳しく、時には優しく。 だから、親がいないからといって不安みたいなのはすぐに消えていた。 「伽倶哉くん、元気なのは良いことよ? でもね…、毎回毎回喧嘩ばっかしちゃダメでしょーが!」 「いってぇ!!美晴さん、傷、染みてんだけど!!そんな、押しつけないで!」 中学に入ってから、俺は不良といった類いになった。 理由は……何でだっけ、忘れたわ。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

815人が本棚に入れています
本棚に追加