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別に美晴さんに反抗とかはしたことは今までない。
寧ろ、ここまで育ててくれた事に感謝しているのだ。
まぁ、売られた喧嘩を買ったりとかしたりして不良になっちまった訳だな。
だから帰ってきてからは大抵、美晴さんに手当てされるのだ。
毎回手当ての時は傷に染みるように消毒液を当てられるから、まじ痛い。
美晴さんから手当てを受けて、自分の部屋に帰ろうとしていれば美晴さんに呼び止められた。
「伽倶哉くん、話があるの」
「話?珍しいな、美晴さんから話って」
軽い感じで美晴さんに返していたが、美晴さんの表情はどこか寂しげで。
こんな寂しそうに笑っている美晴さんを見るのは初めてだった。
「……あのね、伽倶哉くん。伽倶哉くんの本当のご両親について話さなきゃいけないの」
…本当の、親…?
一回も、俺が見たことなくて俺を捨てた奴らの事について?
「…美晴さん、どういうこと」
自分でも分かるくらいに拒絶するような声で美晴さんに話し掛けていた。
美晴さんは俺を見ては決心がついたかのように口を開いた。
「伽倶哉くん…、あなたはね月宮財閥の跡とりなの」
月宮財閥。
世界的にも有名な財閥であり、手掛けている事業は数多い。
現に、月宮財閥は世界的にもトップレベルの実力をもつ財閥だ。
あまり頭がよくない俺でも月宮財閥のことは知っていた。
だから、美晴さんに言われた言葉があまりに突然で思わず目を点にしてしまったのだ。
「…は?」
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