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「岸本くん、その格好は校則違反だ」
「うっせーよ、ダサ眼鏡。どんな格好しようと勝手だろっ!!」
入江 空に会いたい。その思いは二年になると同時に叶えられた。
同じクラスになったのだ。
「あーあ、あの二人またやってるわよ」
「ほんと、毎日よく飽きずにやるわね」
岸本 龍平との毎朝の攻防は、クラスの人間には、毎日の日課というぐらいにしか認識されなくなっていた。
みんなが興味を失ってる中、俺だけはいつもしっかりと見てる。
正直、最初クラスで入江を見たときはショックだった。
募りすぎた理想は、俺の中で大きな存在となっていたから、七三わけで眼鏡のそのダサい姿は衝撃的。
勉強はともかく、スポーツができるなんて到底信じられない。
でも…
「その赤い髪、いつも黒に染めろといっているだろ?
カッターシャツの下に黒いシャツを着ることも校則違反だし、開けていいのは第一ボタンまで。
あとピアス、ブレスレット等のアクセサリー類も認められていない。
いったい何回言えば覚えるんだ」
ピンと伸びた背中に、凛とよく響く声。
一度もはずしたところを見たことがない眼鏡は、入江のストイックさを象徴しているみたいだった。
テストの優劣もスポーツができるできないももうどうでもいい。
誰にでも平等に隔てなく、態度を変えないそのまっすぐさに目を奪われる。
俺は多分、入江のことが好き。
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