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「岸本 龍平」
「っ、な、なんだよ…」
「?
どうした?顔が赤いぞ?」
「うっせ、なんでもねーよ!何の用だってきいてんだろっ!」
「……さっきの数学の授業、あまり集中できていないようにみえたが?
学生にとって授業は貴重な時間だ。無駄にするな」
「っ!!」
なんて、やりとりが目の前で繰り広げられた、一時間目終了の後の休み時間。
岸本の顔は、その頭とおんなじような色をしている。
目も泳いで落ち着かないようだし、これはきっと…。
「おちおちしても居られないか…」
「え?榎本くん、何か言ったー?」
「ううん。なんでもないよ。ちょっとね」
意識して微笑んで、心のなかで決意を固める。
(行動を起こさなくちゃね。
誰かにとられる前に…)
誰にも気づかれないように、そっと舌をなめた。
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