第4章

16/67
前へ
/233ページ
次へ
「竜兄おっそーい。 もう先食べてるからねっ!」 「ああ、ワリ」 居間に戻ると、入江以外のやつは晩飯を頬ばっていた。 「先に食っとけばいいのに」 「ん、いただきます」 きれいに手を合わせて、挨拶をする。その礼儀ただしい姿勢が、とてもきれいだと思った。 入江の手がスプーンをとり、オムライスの卵とチキンライスを絶妙なバランスですくいとる。 それはそのまま、形のよい歯が並んでいる口へと吸い込まれた。 「お口にあいますか」 なんてふざけた調子でいってみても、実際は緊張と不安で心は揺れていた。 「うん。旨いよ。 これ、竜平が作ったの?」 その質問にうなずく。 すごいなって関心した声色で言ってくるもんだから、んなことねーよ、なんて無愛想に返してしまった。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加