第4章

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「料理は竜兄が担当なんです。私は洗濯と部屋の掃除。 巧とちーとまーがお風呂洗いとその他雑用」 春果がなぜか得意気にそう入江に説明する。 「偉いな。ちゃんと兄弟で家事を分担してるのか」 「母が一人で俺らを育ててくれてるからね」 巧が言った言葉に、入江は少し驚いたように目を見開いたあと、微妙に気まずいというかのように眉を下げた。 「別に気まずく思わなくていーぞ。 俺らは俺らなりに楽しくやってっし。 なによりおかんが自ら選択したことだからな。」 離婚したんだよ。 そうあっけらかんといってやれば、「そうか」と言って、入江はオムライスのつづきを食べ始める。 「りゅーにぃ、ケチャップ~」 「は?もう十分かかってんだろーが」 「ケーチャーップーー!!」 「ああ、もうっ」 突然ケチャップを要求し始める信。 駄々をこねると長いことはわかってるから、仕方なく冷蔵庫にケチャップを取りに行く。 「おらっ」 少し乱暴にそれを渡すが、信は気にした様子もなく嬉々としてふたを開けた。 そして、 「そーにぃちゃん!オムライスかっこよくしたげるねっ!」 そういいながら、入江のオムライスへケチャップを掲げたかと思うと、 ぶちゅうううううう。 普通、オムライスにかけるであろうケチャップの5倍ぐらいの量が、入江のオムライスに注いだ。 居間は一瞬静寂に包まれた。
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