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「こっちから順番に、シャンプー、リンス、ボディソープな。適当につかえ」
順に並んだボトルを示しながらそう言うと「わかった」と返事が返ってきた。
「タオルと着替えは用意しとくから」
「ああ。色々世話かけるな」
「気にすんな」
入江を残して脱衣場をでる。意識してすこしだけ急いだのは、入江が急に服なんかを脱ぎ始めるんじゃねーかって危惧からだ。
脱衣場をでたその足でバスタオルと入江の着替えをとりにゆく。
「あー、着替えどうすっかなぁ」
入江のほうが若干だけど俺より高い。
ほんと若干なんだけどな(強調)。
すこし悩んでジャージにした。俺のだけどジャージなら伸縮性があるし、大丈夫だろう。それから適当にTシャツも見繕っておく。
「あとは…」
パンツか。新品のものは確かなかったはずだ。
俺のものを貸すってのは…
「なんか、やべーよな。」
うん、やばくなりそうだ。俺のナニかが(意味深)。
巧のタンスの引き出しを開けて探してみると新品のものを見つけた。
サイズは俺のとかわんねーし、大丈夫だろうとそれをつかむ。
「巧、新品のパンツ入江に貸してもいーか」
「うん。」
部屋によって巧に声かけしてから、再び脱衣場へ向かった。
ドアを開けてみれば、シャワーが使われている音がする。
風呂場と 脱衣場をしきるドアは曇りガラスになっていて、そこに入江の影がゆらゆらと動いていた。
…いかんな。
俺は健全な男子高校生なのだと、改めて自覚する。
(あーやばい。煩悩が…)
脳内に瞬時に沸き起こった妄想。
俺の"俺"は今すぐにでも元気になりそうで思わず苦笑う。
トン、トン。
ガラスのドアを二回叩くと、シャワーが止まり「はい」という入江の返事。
当たり前だけど、風呂場にいる入江の声は響いてすこしぼやける。それがますます俺の頭の中の妄想に拍車をかけようとする。
「き、着替えとタオルここにおいとくから」
「ああ、ありがとう」
入江の返事を背中に脱衣場を急いで出たのは、言うまでもない。
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