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「竜平?」
怪訝そうな入江の声。
「あ…っ」
急に顔が熱くなる。
「わりっ!」
バタンッ!
謝るのとドアを閉めるのはほぼ同時。
いたたまれなくなった俺はその場にもいたくなくて、狭い家のなかを走る。
「巧っ!」
「へっ?なに?」
二人部屋のドアを勢いよく開け、そう話しかけたから、巧が驚きを返してくる。
そんな巧の表情を見るのは久しぶりだ、なんて思っていたけれどそれよりも体が動く。
ずかずかと部屋の中へ入り、鞄から財布と携帯を取り出す。
「俺、ちょっと出てくるから。
入江にドライヤーの場所教えてやって。あと客用の布団も出して敷いとけ。
んで、もう先に寝てていーから」
一気にそれだけ言うと、「え、どこいくの?」なんて聞いてくる巧の声は無視して部屋をでた。
早歩きで玄関まで進み、靴を履いて外へ出る。
外は当たり前だけど夜。該当と家や店から漏れる光は明るく、夜の空の闇を少し薄めていた。
「あー…どうすっかなー」
脳裏には何度も何度も先程の場面が繰り返しよみがえる。
青のタオル生地に、まぶしいほど白い裸体が包まれていた。
上気肌はいつもよりも現実味を帯びて俺の目に飛び込んできた。
どうしようもなく惹かれた。
その肌に食らい付きたいと、反射的に思った。
「やばい、よな。ホント」
何をするか、わからない自分に怖くなった。
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