第4章

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団地内の道をゆっくりと歩く。 なんだかそのままコンビニへ行くのはつまらない気がして、ふと目に入った公園の中へ入った。 夜の公園には、やはり誰もいない。 微かに吹く風と、たまに道路を走る車、それだけがこの場に流れている音だった。 公園は小さい。砂場と滑り台とブランコ、それにベンチが二脚並んでいるだけだ。 ギッ── ベンチではなく、ブランコに座ってみた。久しぶりに座るそれは思っていたよりも窮屈ではない。 ただ、高さがあまりないため、膝を折って足を地面につかなければならない。 ブランコに座ってみたけれど漕ぐことはしなくて、そのままの状態でいた。 ぼーっとしていると、また自然に頭のなかで、今日の昼休みのことが反芻される。 こんなにも心が焦るなら、思い出さなくていいのに。 そう思いながらも、記憶に浸るのをやめられなかった。
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