第4章

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『俺、入江にコクったから 』 岸本竜平の言葉が、耳から離れない。 繰り返し繰り返し、俺のなかで思い出されては、ただただイライラを増幅させて。 こんなに乱されるとは、正直思ってなかった。 俺らしくない。もっと完璧に、冷静に、着実に、空を手に入れたいのに。 キィ、ギ、 ギ、キィ、キィ、キィ、 地面に足をつけたまま、ブランコを揺らす。 油の足りていない規則的な音が、鼓膜を叩く。 イライラする。 『俺、入江にコクったから』 記憶にこびりついて離れない。離れてくれない。
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