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『俺、入江にコクったから 』
岸本竜平の言葉が、耳から離れない。
繰り返し繰り返し、俺のなかで思い出されては、ただただイライラを増幅させて。
こんなに乱されるとは、正直思ってなかった。
俺らしくない。もっと完璧に、冷静に、着実に、空を手に入れたいのに。
キィ、ギ、
ギ、キィ、キィ、キィ、
地面に足をつけたまま、ブランコを揺らす。
油の足りていない規則的な音が、鼓膜を叩く。
イライラする。
『俺、入江にコクったから』
記憶にこびりついて離れない。離れてくれない。
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