第4章

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「別に。君こそ、なんでこんなところにいるの?」 「俺は、まあ……散歩?」 チャ、 右隣のブランコに腰掛ける気配がした。 まもなく規則的な金属音の音が響く。 油の足りていないその音は、先ほど自分のたてた音とはまた間隔が違って、長い。 ブランコをこぐ岸本竜平の姿が、視界の隅に、ちらついた。 「俺、お前のこと嫌いだ。」 なんの戸惑いもなく、そんな言葉が口から出た。 右に揺れているブランコは、一瞬戸惑ったようにその動作を止め、再び動き出した。 「嫌い」。取り繕ったりもせず、自分の感情だけのシンプルな言葉。そんな言葉が出てきたことに、少なからず驚いているのは自分だ。 それでも口は、喉は、言葉を送り出すことを止めない。 塞き止めていた何かが溢れだしたかのように、どんどん自分から出てくる。 「君はずるいよ。俺が今までどまどって、一歩も踏み出せなかったところにズカズカ入っていってさ。図々しいよ」 視線は、ずっとブランコの前の低い柵を見ていた。その柵の1つの錆をにひたすら視線を注ぎながら、意識は不思議なとこにあった。 横のブランコでもない、自分が言っている言葉の内容でもない。 強いて言えば、岸本としゃべっている自分自身とはまた別のところ。第三者のような視線で、この状況を見ていた。
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