第4章

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「何でそんな簡単に空の視線を奪えるの?何で、そんなに簡単に空を動揺させれるの? 何で……」 そんな簡単に「好き」を伝えれるのさ。 (ずるい。) 「…あぁ、そうか。」 自分が心のなかで吐露した最後の言葉に、イライラの正体が分かった。 「?……最後の『何で…』の続きは?」 今の俺の呟きの意味もあまり理解できていないような岸本の声色。 その戸惑った感じに、なんだな少し可笑しくなった。 「いや、別に。」 少し羨ましくなった。なんて、言えるわけがない。 そんなことをいうと、調子に乗るだろうから。 (そうだ、俺は羨ましくて仕方が無かったんだ、この男が。 俺のできないことを簡単にやってのけてしまう。 俺はただただ、それを見ていることしかしなくて、それでイラついた。) それは悔しくも、憧れに似た感情だった 自分の出来ないのとを簡単にやってのけてしまう。俺はこんなこんな男になってみたかったんだ。 でも、なれなかった。いやならなかった。当たり前だ、俺とこいつは違う人間なんだから。 単純明快なこの男だからできたこと。だったら俺も、俺にしかできないことがあるはずで。 (俺がこいつの真似をしたって、意味はないんだ。) 俺は俺にしかできない方法で、空を手に入れればいい。
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