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ビクンっ。
また揺れるダサ眼鏡の体。
よく見てみれば、後ろの花岡が腕を伸ばし、ダサ眼鏡の脇腹辺りをつついているようだ。
(お、ダサ眼鏡にも弱点ありか!)
つつかれただけであんな反応するくらいだから、きっとくすぐったがりなんだろう。
思わぬ収穫にニヤリとしてしまう。
(今度なにか言われたら、くすぐって反撃してやる)
花岡グッジョブ!!
心の中で親指を立てながら、嫌がってるであろうダサ眼鏡の顔を見た。
(っ!?!?)
いつものあの厳しくつり上がっている眉毛は今はひそめられて、頬は少し赤くなっている。
口は刺激に耐えるようにきゅっとむすばれて、声を出すのをこらえているみたいだ。
光で反射して見えない眼鏡の奥の瞳がどんな風になっているのか、見てみたくなった。
なんか、エロい…?
(…って!!
なんでダサ眼鏡に色気なんて感じなきゃなんねーんだっ!
しっかりしろ!俺っ!)
首をぶるぶると振って思考を正常に戻す。
深呼吸を繰り返して、変にドキドキしている心臓をなだめた。
とりあえず落ち着いて、もう一度ダサ眼鏡を見る。
その時、また花岡が脇腹をつついて、入江の体が反応した。
(え、)
先ほどのようにビクンっと揺れた入江は、シャーペンをノートの上に置いてゆっくりと後ろを振り返った。
俺には聞こえない音量で、何かを花岡に言っている。花岡がまたヘラっと笑って両手を合わせた。
それを見た瞬間、心臓がジワリと動いた。
(なんだ、これ)
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