第1章

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ビクンっ。 また揺れるダサ眼鏡の体。 よく見てみれば、後ろの花岡が腕を伸ばし、ダサ眼鏡の脇腹辺りをつついているようだ。 (お、ダサ眼鏡にも弱点ありか!) つつかれただけであんな反応するくらいだから、きっとくすぐったがりなんだろう。 思わぬ収穫にニヤリとしてしまう。 (今度なにか言われたら、くすぐって反撃してやる) 花岡グッジョブ!! 心の中で親指を立てながら、嫌がってるであろうダサ眼鏡の顔を見た。 (っ!?!?) いつものあの厳しくつり上がっている眉毛は今はひそめられて、頬は少し赤くなっている。 口は刺激に耐えるようにきゅっとむすばれて、声を出すのをこらえているみたいだ。 光で反射して見えない眼鏡の奥の瞳がどんな風になっているのか、見てみたくなった。 なんか、エロい…? (…って!! なんでダサ眼鏡に色気なんて感じなきゃなんねーんだっ! しっかりしろ!俺っ!) 首をぶるぶると振って思考を正常に戻す。 深呼吸を繰り返して、変にドキドキしている心臓をなだめた。 とりあえず落ち着いて、もう一度ダサ眼鏡を見る。 その時、また花岡が脇腹をつついて、入江の体が反応した。 (え、) 先ほどのようにビクンっと揺れた入江は、シャーペンをノートの上に置いてゆっくりと後ろを振り返った。 俺には聞こえない音量で、何かを花岡に言っている。花岡がまたヘラっと笑って両手を合わせた。 それを見た瞬間、心臓がジワリと動いた。 (なんだ、これ)
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