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モヤモヤとしたものが広がっていく。
(なんで、花岡の方は向くんだよ。
俺がどんなに視線を送っても無視してるくせに)
モヤモヤはいつの間にか、イライラにすりかわっていく。
(だいたいなんであんな顔すんの?
くすぐられただけで大袈裟なんだよ。
俺の前じゃ、表情なんて崩さねぇくせに…)
俺だけじゃない。他の誰にだって、入江は淡々とした態度をとっている。
間違っていることはためらわずに言うし、人によって態度を変えることもしない。
だからとっつきにくくて、みんなから遠巻きにされてたりするんだ。
でもその遠巻きにみる視線の中には、尊敬の眼差しだって含まれてる。
だからクラスの委員長なんて役割だって推薦で決まった。
俺との毎朝のやりとりは、同じクラスになって、入江が委員長になってから。
毎朝ほんとうるせー。
でも、それは俺をちゃんと見てるってことだと思ってた。
他のクラスの連中より、少しだけ、その距離は近いんだって、
なんかそんなことを考えてた。
でも、
振り向いたその顔は、迷惑そうな顔をして、それすら俺は滅多と見ないものだった。
(花岡だけ、特別なのか…?)
そんな風に思ってしまうと、もう入江の方は見れなくて、
机に伏せて寝てしまおうと思ったのに、心のなかが騒がしくて寝れなかった。
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