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時を遡ること6時間前。
地元では連続焼死事件と連続吸血事件が毎週のように流れていた。
どちらも黒いドラゴンの仮面を付けた男が目撃されているため、犯人の事を世間ではブラックドラゴンと呼んでいる。
少女、白滝 清羽はこの春、高校3年生になった。
クラスは持ち上がりなので、友達も変わらずいつも通りの楽しい毎日が続いている。
ただ、半年前からの悩みが一つ、未だに解決できていない。
それは……
「おい龍牙。
お前また本気出してなかっただろ!」
「いや、あれで本気だって!」
「引き分けだけの勝負があってたまるか!
あのなぁ、そんなに本気出したくないなら相手に悟られないようにたまに負けたりしろよ。」
「…………」
「おい、聞いてるのか?」
「負けたくないんだよなぁ。」
「はあ?
なら、勝てばいいだろ?」
「俺はできる限り目立ちたくねぇんだよ。
別に俺の勝手だろ?」
「あのなぁ、むしろ目立ってるぜ?」
気がつけば、私を含めたクラスメイト達が2人の会話を見つめている。
2人は、校内の彼氏にしたいランキング1位と2位で、ルックスはもちろんのこと運動神経抜群だ。
1位の目立ちたくないのに目立っている男子、黒羽 龍牙は剣道部所属、スポーツでは本気を出さない事で有名で、彼と勝負するとチーム戦でも個人戦でも必ず引き分けになる。
ちなみに、彼の本気は誰も見たことがないらしい。
そのため、実はものすごく運度神経が良いんだろうと、クラスでは常人離れした都市伝説が広がっている。
2位の青木 和人は剣道部所属、黒羽を除いてクラスナンバーワンの運動神経を誇る。
2位にもかかわらず、彼のファンクラブ人数は校内トップであり、その要因として、1位の黒羽が好きな人がいると公言したというのがあるらしい。
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