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私は、燃え盛る黒スーツの男たちをただ呆然と見てしまって、その向こうの少年の正体に気づくのに少し遅れた。
炎に包まれた黒焦げの物体を踏みつけながらこちらに来る。
彼には暑さなど感じていないようだ。
炎の中から彼が現れた時、私は驚きを隠せなかった。
炎の中から現れた少年とは……
「黒羽……くん?」
私の片想いの相手。
連続焼死事件と連続吸血事件の犯人?
ブラックドラゴン?
そんなはず……
混乱する私に、黒羽くんは言った。
「ブラックドラゴンは俺だ。」
そういった次の瞬間!
ガブッ!
気がつけば黒羽くんが私の首筋にかぶりついていた。
ゴクン……ゴクン……
勢いよく私の血を飲む音が聞こえる。
私は混乱していて、抵抗する事が出来なかった。
吸血鬼?
連続吸血事件は吸血鬼の真似事をした事件で、注射器とかを使って血を抜いていたのだと思っていた。
けれど今、私は目の前の男に血を飲まれている。
まるで、吸血鬼のように……
頭がクラクラする。
おそらく、血を吸われて貧血になっているせいだろう。
連続吸血事件は連続焼死事件と違って死者が1人も出ていない。
その点では殺される可能性は低いのだが、問題は私がブラックドラゴンの正体を知ってしまったことだ。
しかも、とてもよく知っている人物。
このまま、血を吸われて殺されるかもしれない。
ところが次の瞬間、彼は血を飲むのを止めた。
もちろん、私は死んでいない。
ちょっと頭がクラクラするだけ。
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