final episode

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「理由は2つ。まず一つ目は姫に俺の奥さんになったって実感してもらうため。」 「針のむしろって感じですよ今。実感って…。」 「それが実感だろ?あんな事があって辞めた姫が、あのアペゼのシェフになって、しかもそこの看板シェフと結婚。そりゃ誰しも驚きと敵意を剥き出しで姫を見る。あの女も、影で見てるあの男も。」 徹平の言葉で周りを見ると、テーブルを挟んで右側に例の女が。 厨房入口には例の男が凄い顔でこちらを見ていた。 醜い…。 あの二人はまだ自分を抹消してくれていないのか。 その事実に溜め息をついて…。 「なんでっ!?なんで徹平さんが幸紀と千春の事知ってるんですかっ!?」 「あの男は前に店に来た時にすれ違ったでしょ。その千春って女も、あんな形相してればわかる。」 「それはそうかもしれないけど、でも…」 「怖いよねぇ。けどこのなんとも言えない不愉快な感じが、俺と結婚した実感くれると思わない?思いっきり憐れんであげられるでしょ?」 「あ…悪魔だ…」 「光栄。」 クスリと笑った妖艶な美しすぎる悪魔に、身も心も捧げたことへの高揚感で鳥肌が立った。 「それともう一つ。これが本当は一 番の目的だったんだけど。」
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