第5章

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「ほんっとにすみませんでした。」 今の謝罪は一体何回目だろう。 「聞き飽きた。それはいいから手、動かして。」 静まりかえった厨房には、一生懸命片付けをする姫香と、丸椅子にドッカリと腰掛け、鬱陶しいくらいに長い脚を組んでいる仏頂面の徹平しかいない。 和希を二階に追いやり、龍司を店の外に追い出した形で帰した徹平は、無言で厨房の隅に丸椅子を用意し、黙って腰を下ろしたのだ。 「徹平さん、大丈夫ですから先に帰ってください。」 「いいから早くやって。」 「私が言い出したんですから、今日は私一人で…」 「わかってるよ。だから手伝う気は一切ないし。俺も早く帰りたいの。手止めないで。」 「や、だったらもう…」 「うるさい。は・や・く!」 そんなこんなで何度も謝りながらも、一人で片付けている姫香を、徹平は隅でじっと見ていた。
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