5518人が本棚に入れています
本棚に追加
『そうですねぇ』と姫香は最後の拭き上げを終わらせて『よしっ!』と歓喜の声を上げた。
かなりスピーディーにしたつもりだったけれど、一人でやり始めて、もうすぐ2時間半が経とうとしている。
「すみません徹平さん。結局こんな時間になってしまって。」
「それは…いいけど。」
話をそらされたのか?
確かに言い方もキツかったし、そりゃ話したくない内容だよな。
徹平もそのままスルーして椅子を片付けようと立ち上がった時。
「簡単でしたよ。」
は?
振り返ると、いつものニコニコした姫香がこちらにやって来るところだった。
簡単?
そんなわけない。
本当に簡単なのなら、ここまで女々しくなく彼女への想いを手放せてる。
手放したくて藻掻いたりなんてしていない。
自分の気持ちの行き場を探して、こんなに苦しい事なんて…ないはずなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!