第5章

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『そうですねぇ』と姫香は最後の拭き上げを終わらせて『よしっ!』と歓喜の声を上げた。 かなりスピーディーにしたつもりだったけれど、一人でやり始めて、もうすぐ2時間半が経とうとしている。 「すみません徹平さん。結局こんな時間になってしまって。」 「それは…いいけど。」 話をそらされたのか? 確かに言い方もキツかったし、そりゃ話したくない内容だよな。 徹平もそのままスルーして椅子を片付けようと立ち上がった時。 「簡単でしたよ。」 は? 振り返ると、いつものニコニコした姫香がこちらにやって来るところだった。 簡単? そんなわけない。 本当に簡単なのなら、ここまで女々しくなく彼女への想いを手放せてる。 手放したくて藻掻いたりなんてしていない。 自分の気持ちの行き場を探して、こんなに苦しい事なんて…ないはずなんだ。
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