第5章

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「難しい事なんて何一つ考えてません。って言うか、自分の気持ちすら考えませんでした。」 え。 自分の諦めの悪い気持ちをどうにかしたくて悩み考えているのに。 自分の気持ちすら考えない諦め方なんてあるのか? 「相手が一番愛してるのは誰なのか。相手にとって私はどういう存在なのか。どうすれば相手は私にずっと自然で素敵な笑顔を向けてくれるのか。現実と向き合って、ただそれだけを考えたんです。そしたら答えは1つだったから。」 淡々と丁寧に答えてくれる姫香の言葉は、ひとつひとつが徹平の心に染み入った。 「ふぅん。そっか。」 素っ気なく返したが、その言葉にとても背中を押された気がした。 今までの俺は苦しい自分の気持ちに手を焼いて、その気持ちの重さに潰されそうで。 それを何とかしたくて藻掻いていただけ。 ホント、俺は自分の感情ばかりだな。
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