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ハッとして我に返ると、クリクリの目をした姫香が徹平の顔を覗き込んでいた。
なんでガン見されてんだ。
思わず手の甲で口元を隠す。
姫香の真っ直ぐな瞳に自分のグチャグチャした感情を見透かされそうで。
さっと姫香との距離を取ると。
「あっ。」
姫香は咄嗟に徹平の口元を隠していた右の腕をパッと取った。
「え。」
「あ、すみません!」
何やってんだ私は。
さっと引いた自分の手が、何だかドクドクと脈を打っている気がした。
急に取られた距離が惜しくて。
その手の甲に隠された微かに歪んでいるであろう口元が見たくて。
思わず…手が出た。
って、私は痴女かっ!
二人共が恥ずかしさを隠す空気を纏えば、それはもう隠れていないのと同じ。
そろっと視線を上げると、徹平とバッチリ絡んだのを勢いに、姫香が口を開いた。
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