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「絶対おかしい。」
ディナーの用意をしている最中、がちゃがちゃとカトラリーを磨きながら裕人は不服そうに呟いた。
「まだ言ってんの?」
向かいで紙ナプキンを折りながら、雅人は呆れたように溜め息をついた。
どうも最近、裕人の機嫌がすこぶる悪いのだ。
その原因というのも…。
「あの距離がおかしすぎる。」
恨めしそうな視線の先にいるのは、厨房の中で仕込みをしている姫香と徹平の二人。
隣り合って時折姫香が徹平の方に寄り、言葉を交わす。
雅人からすれば、すっかり見慣れた光景となっているが。
「ほら、やっぱり。」
「だからぁ。最近何なわけ?特に気になるトコロなんてなくない?」
「雅人にはわかんないの?あの二人の距離感が変わってるんだよ。」
そう力説されて再度あの二人へと視線を戻してみるけれど…。
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