5519人が本棚に入れています
本棚に追加
和希と優姫の結婚式の後。
片付けを終えて店を出てすぐに、裕人は忘れ物をした事を思い出した。
「雅人、ごめん。先帰ってて。」
「え。どうしたの?」
「クリーニングに出す予定にしてたシャツとスラックス、忘れて来ちゃったんだよね。戻って取ってくるよ。」
「明日でもいいんじゃない?」
「今日は結構汚しちゃったからさ。帰りがけに出しちゃいたいんだ。すぐ戻るからさ。」
雅人の返事も聞かぬまま、裕人は踵を返して戻っていった。
店の前についてポケットを探り鍵を取り出す。
「あれっ?開いてるじゃん。まだ誰か残ってんの?」
和希達の住居である二階には、よほどのことがない限り音が響くことはないのだが。
それでもやはり閉店後、戻る時は音を忍ばせる。
階段横の控え室で忘れ物を取り再び帰ろうとした時。
フロアの方から微かに話し声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!