第5章

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和希と優姫の結婚式の後。 片付けを終えて店を出てすぐに、裕人は忘れ物をした事を思い出した。 「雅人、ごめん。先帰ってて。」 「え。どうしたの?」 「クリーニングに出す予定にしてたシャツとスラックス、忘れて来ちゃったんだよね。戻って取ってくるよ。」 「明日でもいいんじゃない?」 「今日は結構汚しちゃったからさ。帰りがけに出しちゃいたいんだ。すぐ戻るからさ。」 雅人の返事も聞かぬまま、裕人は踵を返して戻っていった。 店の前についてポケットを探り鍵を取り出す。 「あれっ?開いてるじゃん。まだ誰か残ってんの?」 和希達の住居である二階には、よほどのことがない限り音が響くことはないのだが。 それでもやはり閉店後、戻る時は音を忍ばせる。 階段横の控え室で忘れ物を取り再び帰ろうとした時。 フロアの方から微かに話し声が聞こえた。
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