第5章

22/46
前へ
/460ページ
次へ
初めての胸の高揚をどうすればいいのか見当もつかなくて。 結局殆ど寝ることが出来ずに朝を迎えた。 キッチンから雅人の気配を感じて、フラフラと部屋を出ると。 「ヤバいよ…」 そう一言呟いた。 ポカンとして『いきなり何?』と返した雅人に、 「ヤバいよ俺…姫ちゃんに惚れちゃった……」 と爆弾を投下したのだった。 聞けば聞くほど雅人にとっては『それだけ?』と聞きたくなるほどのきっかけだった。 けれど明らかに裕人の表情は昨日までとは売って変わっている。 髪型以外は自分と瓜二つの裕人の変化。 そしてそれは、自分でさえも鏡で見たことのない初めての顔だった。 そうか。 俺も恋をしたらこんな顔になんのかな? 裕人の思いの行方なんてわからないけれど、こんな顔見せられたら少し羨ましくなる。 高みの見物させてもらおう。 雅人はニヤリとほくそ笑んだ……。
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5520人が本棚に入れています
本棚に追加