5518人が本棚に入れています
本棚に追加
時間は三日前にさかのぼる。
閉店間際の窓の外は真っ暗で、激しい雨音が聞こえていた。
雨のせいか客足も途絶え、閉店30分前だがclosedにしようかと話していたところ、大きな音を立てて扉が開いた。
裕人と雅人が慌てて客を出迎える。
しかしエスコートを無視して姿を現したのは、真っ赤な顔でフラつきながら歩く三人組の男だった。
「こちらへどうぞ。」
雅人がテーブル席へと促すのも構わず、男達は大声で笑いながらヨロヨロとカウンターへとやって来た。
「俺の彼女が雑誌持っててさぁ。1度来てみたかったんだよねぇ。」
「なに?お前居酒屋ばっか行ってるくせに、こんな洒落た店にも興味あんのぉ?」
「ばっか。見てみろよぉ、アレ。こいつの目当てはアレだろぉ?」
ニヤニヤと品のない笑いをしながら男達が指さす先にいたのは。
言わずと知れた姫香だった。
「雑誌見た時から思ってたんだよなぁ。いい女だってさぁ。」
「確かに間違いねぇなぁ。ちょー美人。」
「うっわ、やべぇ。めっちゃ好みなんだけどぉ。」
品のない笑いを浮かべながら姫香を吟味する男達の周りは、顔をしかめたくなるほど酒臭かった。
最初のコメントを投稿しよう!