第8章

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時間は三日前にさかのぼる。 閉店間際の窓の外は真っ暗で、激しい雨音が聞こえていた。 雨のせいか客足も途絶え、閉店30分前だがclosedにしようかと話していたところ、大きな音を立てて扉が開いた。 裕人と雅人が慌てて客を出迎える。 しかしエスコートを無視して姿を現したのは、真っ赤な顔でフラつきながら歩く三人組の男だった。 「こちらへどうぞ。」 雅人がテーブル席へと促すのも構わず、男達は大声で笑いながらヨロヨロとカウンターへとやって来た。 「俺の彼女が雑誌持っててさぁ。1度来てみたかったんだよねぇ。」 「なに?お前居酒屋ばっか行ってるくせに、こんな洒落た店にも興味あんのぉ?」 「ばっか。見てみろよぉ、アレ。こいつの目当てはアレだろぉ?」 ニヤニヤと品のない笑いをしながら男達が指さす先にいたのは。 言わずと知れた姫香だった。 「雑誌見た時から思ってたんだよなぁ。いい女だってさぁ。」 「確かに間違いねぇなぁ。ちょー美人。」 「うっわ、やべぇ。めっちゃ好みなんだけどぉ。」 品のない笑いを浮かべながら姫香を吟味する男達の周りは、顔をしかめたくなるほど酒臭かった。
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