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あ…ヤバい。
いろんな意味でこのままじゃ何かと限界だ。
「ねぇ。そろそろ離してくれない?」
苦しいから…なんて死んでも口にできない。
「このままじゃ…」
酸欠になりそう…なんて絶対に。
「キスもできないし。」
「っ!」
背中に回されていた手がバッと引かれ、真っ赤に染まった姫香と向かい合った。
けれどあまりの恥ずかしさに姫香が俯いたところで、徹平はゆっくりと全身に空気が行き渡るように深呼吸をした。
頬に手を添えて姫香の顔を上げると、徹平は妖艶な瞳を軽く伏せながら近づき。
キス…される…。
姫香は目を伏せ徹平の唇が触れようとした時。
ドンドン!
『姫香、徹平。扉開けとくからな。いつでも出れるぞ。』
扉を叩きながら向こう側で和希が声をかけてきた。
空気読めよバカ兄貴!
邪魔してんなよバカ男!
なんとも気の合う二人、心の中で同時に悪態付いていた。
「出ようか。」
気分を削がれ溜め息混じりにそう言うと、
「…はい。」
ぷくっと膨れた姫香が小さく頷いた。
姫香がノブに手を伸ばしたと同時に徹平は姫香の腕を勢いよく引き、傾いた姫香に強引にキスを落とした。
「今日一日ずっと裕人の事ばかり考えてたでしょ?今からは俺の事だけ考えて。」
徹平はそう言うと身体思考全てがストップしている姫香を残し、部屋から出ていった…。
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