第9章

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「ウジウジするくれぇなら、スパッと言葉に出しゃいいんだよ。一番簡単な方法じゃねぇか。」 「和希はそうかもしれないけど。それが簡単じゃない人だって沢山いるのよ。」 「わっかんねぇ。」 そりゃ、わからないだろうなぁ。 優姫はベッドに入る準備をしながら和希の話を聞いていた。 「和んでるって事は、多分ちゃんと話はできたはずなんだよ。」 「私も久しぶりに2人を見たけど、徹平くんの視線が甘すぎて胸焼けしそうになったくらい。」 「だろ?なのに大した進展は無さそうなんだよな。」 「好きあってるのは分かるけど、恋人同士って空気とは別物だもんね。」 職場でベタベタと無節操なのは有り得ないが、何となく漂う空気は今までと微妙に違うくらいで、大きな変化は見受けられなかった。 それでも前の様にお互い『好き』のオーラを隠すことはしていなくて。 「きっと告白はしたんだと思うのよね。でもその後どうしていいのか、戸惑ってるんでしょうね。」 徹平もそうだが、姫香も大した恋愛経験はないのだ。 「アイツら、俺には何も言わねぇんだよ。ま、言ったところで何してやるわけでもねぇけど。」 「助言してあげればいいじゃない。」 「イヤだね。徹平ももがけばいいんだよ。2人でわかり合わねぇとな。」 「まぁ、ね。」 確かに言ってることは最もだけど。 この状況を楽しんでるのも否定出来ないな。 優姫はそう思いながら、自分もまだ姫香に伝えるのは待とうと思った。 そんなふうに徹平と姫香がモタモタしている間に、とある出来事が忍び寄ってきたのだ。
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