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「ウジウジするくれぇなら、スパッと言葉に出しゃいいんだよ。一番簡単な方法じゃねぇか。」
「和希はそうかもしれないけど。それが簡単じゃない人だって沢山いるのよ。」
「わっかんねぇ。」
そりゃ、わからないだろうなぁ。
優姫はベッドに入る準備をしながら和希の話を聞いていた。
「和んでるって事は、多分ちゃんと話はできたはずなんだよ。」
「私も久しぶりに2人を見たけど、徹平くんの視線が甘すぎて胸焼けしそうになったくらい。」
「だろ?なのに大した進展は無さそうなんだよな。」
「好きあってるのは分かるけど、恋人同士って空気とは別物だもんね。」
職場でベタベタと無節操なのは有り得ないが、何となく漂う空気は今までと微妙に違うくらいで、大きな変化は見受けられなかった。
それでも前の様にお互い『好き』のオーラを隠すことはしていなくて。
「きっと告白はしたんだと思うのよね。でもその後どうしていいのか、戸惑ってるんでしょうね。」
徹平もそうだが、姫香も大した恋愛経験はないのだ。
「アイツら、俺には何も言わねぇんだよ。ま、言ったところで何してやるわけでもねぇけど。」
「助言してあげればいいじゃない。」
「イヤだね。徹平ももがけばいいんだよ。2人でわかり合わねぇとな。」
「まぁ、ね。」
確かに言ってることは最もだけど。
この状況を楽しんでるのも否定出来ないな。
優姫はそう思いながら、自分もまだ姫香に伝えるのは待とうと思った。
そんなふうに徹平と姫香がモタモタしている間に、とある出来事が忍び寄ってきたのだ。
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