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なんだかんだ言ってもしっかり俺を尻に引き、姫にソックリな男の子と俺にソックリな女の子を2人で抱きしめて。
たまに喧嘩もするけれど、それでも毎日笑いが絶えなくて。
そんな幸せすぎる、ほんの少しだけ未来のビジョン。
「徹平さん?」
呼ばれて姫香の瞳を覗けば、脳裏に浮かんだものが、そう遠い未来ではないと答えを返してくれているようだ。
「何でもないよ。姫と一緒だったら、俺の人生最後の日まで笑っていられるんだろうな。」
「当たり前です。私が絶対に徹平さんを幸せにしてあげますからね。」
「ははっ。逞しいね。けどそれ、俺のセリフじゃない?」
「あ、そか。じゃ、2人で幸せにし合いましょうね。」
そう言って笑う彼女はとても愛らしくて、一生掛けても愛し尽くせないんじゃないかと思うほど。
次から次に溢れて大きくなる初めての感情に戸惑いながらも、もう不安なく抱きしめることができる姫香の温もりに幸せを感じた。
「そうだね。」
徹平の噛み締めた声が、姫香の耳元で聞こえる。
潰れるんじゃないか、と思うくらいにキュンと締め付けられた姫香の心臓が、徹平のそれと重なって一つになった。
まるで今後の2人を指し示しているようで、さらに姫香の胸が喜びで苦しくなった。
今でもこんなに胸がいっぱいなのに、これから先、私の心臓は持つのだろうか。
そんな心配をよそに、ときおり降ってくる徹平の唇にそっと自ら寄せながら、永遠の愛を手にした喜びの方が勝って涙が溢れる。
その涙をすくうように優しく口付ける徹平に、心の底からの気持ちを伝えよう。
「一生愛してます。全力で幸せにするので、幸せにしてください。」
「…もちろん。俺も一生愛してるよ。姫も一生愛してね?」
「誓います。」
誰もいない部屋の片隅で、神様とお互いの心にだけに刻みつけるように。
2人は大きな大きな愛を誓いあった…。
全てが初めてづくしの二人の愛は、これからも二人で初めてを生み出しながらも甘く優しく続いていくのだろう……。
ーーーfinーーー?
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