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「はよーっす!」
出勤して来た龍司に『ちょっと話があるんだけど』と徹平が声を掛けると、待ってました!と龍司はウキウキ顔で厨房の椅子に座った。
「で?何の報告?って聞かなくても大体のことはわかっけど。」
「あ、そう?じゃあ簡潔に。俺と姫、結婚するから。」
「あーやっぱりなぁ。…って…結婚っ!?」
座っている椅子がガタリと音を立てるほど驚き前のめりになった。
「結婚。」
「そりゃまた…えらくぶっ飛んだなぁ。いきなり結婚かよ。」
「別に焦ってるわけでも冗談なわけでもないからな。」
目を丸くしている龍司に対し、冷静に語る徹平を見てクシャっと笑った。
「別にそんな事は思ってねぇよ。だってお前、子供生まれる時に大事な言葉くれたじゃねぇか。そんなお前が簡単に結婚なんて決められるはずねぇもんな。」
徹平が言ってくれた優先順位によって、龍司は生命の誕生を目の当たりに出来たのだから。
一生忘れることの出来ない感動を味わうチャンスをくれたのは、誰でもない徹平なのだ。
「むしろ俺は嬉しいぜ。」
「何で龍司が嬉しいんだよ?」
「愛しの嫁と子供のいる人生がどれほどの幸せとエネルギーをくれるのか、お前らにも早く知ってほしいからだよ。」
「龍司は真子ちゃんと結婚して変わったもんね。毎日とっても楽しそうだよ。」
「恋人もいいけど、やっぱり夫婦だよなぁ。お前と姫香ちゃんが別れるなんて有り得ねぇから、結婚って言われても納得しちまう。」
そう言って椅子から立ち上がると、龍司はバンバンと徹平の肩を叩いて言った。
「いやマジで。お前ら最高だな!おめでとう!」
その後も夫婦について熱く語るにつれて、龍司のスキンシップと叩く強さが増してきて、まだ最大の難関が残っているにも関わらず、ゲンナリしてしまった…。
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