episode 1

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遅いな…。 いつもなら二人揃って出勤してくる時間だというのに。 とはいっても、実際は5分程しか遅れてはいない。 気を張って待っていると、時が過ぎるのが物凄く遅く感じるものだ。 その割には朝の作業はスピーディーにこなしていて、和希や龍司からのイジリも聞き流せている。 はぁ…。 もう何度目になるであろう溜め息をついた時。 「「おはよー。」」 明らかにいつものテンションよりも低く2人が入ってきた。 「ういー。」 「おーっす。」 和希と龍司が返す中、徹平はポソリと小さく『はよ…』と呟いた。 「あ、ねぇ雅人。あそこに幸せそうな人がいるよ?」 「あ、ホントだ。」 「何だか神妙な顔つきしてるけど、きっとあれって顔だけだよ。」 「だろうね。内心はバラ色で、無表情決め込むのも辛いんだよ。」 「あー。『一応アイツの前では』的なやつ?」 「そーそー。『裕人の前じゃ笑えねぇよ』的なやつ。」 「うっわ。俺、悪者っぽくない?それ。」 「立場的にはラスボスなんじゃない?」 「えー!?酷いなぁ。」 大きな声で嫌味という名の本心を語り、ケラケラと2人で笑い出す裕人と雅人に、徹平は口を挟むことができなかった。
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