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遅いな…。
いつもなら二人揃って出勤してくる時間だというのに。
とはいっても、実際は5分程しか遅れてはいない。
気を張って待っていると、時が過ぎるのが物凄く遅く感じるものだ。
その割には朝の作業はスピーディーにこなしていて、和希や龍司からのイジリも聞き流せている。
はぁ…。
もう何度目になるであろう溜め息をついた時。
「「おはよー。」」
明らかにいつものテンションよりも低く2人が入ってきた。
「ういー。」
「おーっす。」
和希と龍司が返す中、徹平はポソリと小さく『はよ…』と呟いた。
「あ、ねぇ雅人。あそこに幸せそうな人がいるよ?」
「あ、ホントだ。」
「何だか神妙な顔つきしてるけど、きっとあれって顔だけだよ。」
「だろうね。内心はバラ色で、無表情決め込むのも辛いんだよ。」
「あー。『一応アイツの前では』的なやつ?」
「そーそー。『裕人の前じゃ笑えねぇよ』的なやつ。」
「うっわ。俺、悪者っぽくない?それ。」
「立場的にはラスボスなんじゃない?」
「えー!?酷いなぁ。」
大きな声で嫌味という名の本心を語り、ケラケラと2人で笑い出す裕人と雅人に、徹平は口を挟むことができなかった。
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