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「姫。」
「姫香。」
「姫香ちゃん。」
「姫ちゃん。」
「姫ちゃん!!」
全員が一斉にこちらを振り向き、思い思いに姫香の名を呼んだ。
「……は?」
妙な場の雰囲気に、姫香の頭にハテナが何個も浮かんでは消える。
昨夜、徹平は姫香に『俺からみんなに伝えるから姫はゆっくり来て』と言われていた。
『わかりました』と徹平に任せてしまったけれど、この雰囲気では…失敗したな。
「姫ちゃんっ!どーゆーことっ!?いきなりそんなっ…。やっぱりそうなの?いるの?できてんのっ!?」
飛び出してきた…という表現がぴったりの裕人が、姫香の肩に手をかけ姫香のお腹を凝視してきた。
「はっ!できてる?何言ってるんですかっ!?」
「だって結婚なんてさ。そりゃ二人の気持ちはわかってたけど、いきなり結婚となると、それなりの理由があるからなんでしょ!?」
「…あ…」
そういうことか。
徹平さんは言葉足らずな人だった…。
「裕人さん。私、妊娠なんてしてません。」
「だったら…」
「私達が結婚という結論に達したのは、今も未来も結論は変わらないと分かっているからです。」
徹平さんから言われた時は驚いたけれど、あれからゆっくり真剣に考えたら、やはり徹平の言葉が心に染みてきた。
そしてやっぱり二人の結論が自分にとっても最善なんだって思えた。
だからその気持ちを皆にもわかって欲しい。
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