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「結婚って言葉が自然に出てしまうくらい、二人の気持ちが同じだったって事なんです。だから…」
こんなこと、自分で言うと恥ずかしすぎるんだけど。
だけど恥ずかしいなんて言っていたら、きっと誰も私達の気持ちを理解してくれないだろう。
それは寂しすぎるから。
「姫ちゃん…。」
呼ばれて見上げた裕人の瞳は一瞬淋しそうに揺らめいたけれど、それを悟られまいとするかのように裕人はニコリと微笑んだ。
「おめでとう姫ちゃん。良かったね。」
姫香に向けた初めての『おめでとう』は、皮肉にも裕人だった。
「…っありがとうございます。」
ぐっと飲み込んだ『ゴメンナサイ』
この言葉は一生言わないようにしようと、裕人の笑顔を見て姫香は心の中でコッソリと誓った。
「姫ちゃん、おめでとー!」
「まさかこんなに事が進むとは思わなかったぜ。」
雅人と龍司が姫香を囲み騒ぎ出すと、外れた2人は目を合わせた。
「ラスボス撃破だな。」
「お姫様の登場に感謝だよ。」
「お前の言葉はストレートすぎんだよ。だからみんな困惑するんじゃねぇか。」
「肝に銘じてお姉様に報告させてもらうよ。」
一安心した徹平の余裕の表情に、和希の腹底がメラッと熱くなった。
「何勘違いしてやがんだ!さっきも言っただろ!『妹さんを僕にください』っつーまで俺は認めねぇからなっ!ばぁかっ!」
「………」
徹平にとってのラスボスは、どうやら和希だったようだ…。
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