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「大したもの用意出来なくて申し訳ないけど。よかったら食べてね。」
ニコニコしながらテーブルに次から次へと果物や菓子類を置いていく母。
「ほらほら姫ちゃんも優ちゃんも、隣に座りなさい。」
リンゴ、梨、桃、巨峰。
プチケーキ、タルト、クッキー、マフィン、シュークリーム。
……こんなに一体誰が食べるんだ。
「それにしても…」
母は徹平と和希を見比べて、ほうっと溜め息をついた。
「なんなの?この素敵なショットは。和希くんが義息子になっただけでも大喜びだったのに。」
母は姫香を見て満面の笑みを漏らす。
「姫ちゃんまで、こーんなイケメンさん連れてきてくれるなんて。」
「お母さんってば。徹平さんはただのイケメンじゃないんだからね。」
「わかってるわよぉ。というか、お母さんの方が徹平くんを見た瞬間にビビッと来たんだから。」
『ビビッと』って…今でも使うのか?
口に出せない徹平は、心でツッ込むしかない。
「お母さん、優ちゃんの結婚式の時に言ったでしょ?徹平くんのこと。どうにかなったりしないのかって。姫ちゃんってば否定してたけど、アレは照れ隠しだったのね?」
「お母さんっ!」
慌てて母親の口を噤ませようと焦るけれど、徹平はチラリと姫香を見遣るとすぐに視線をそらした。
ふうん?
否定してたんだ?
過去とはいえ…俺のこと否定したんだ?
これは後でキツイお仕置きが必要なようだ。
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