final episode

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外出中だった父親も昼過ぎには帰宅して、水沢家勢揃いの食事は賑やかなものになった。 徹平が『結婚させてください』と口にした途端に泣き出されたときには、正直どうしようかと頭を抱えたくなった。    姫香や母親ならまだしも、号泣したのは父親なのだから。 酒に酔うと姫香と優姫がいかに可愛かったか、いかに今でも可愛いか、そんな話しを延々と聞かされた。 これは一日では語れないパターンだと見越した徹平と姫香は、早々に婚姻届を広げて両親からサインを貰うことに成功した。 『俺が書きたかった』や『妹を僕にくれって挨拶は聞いてねぇ』などブチブチ言っていた和希だったが、優姫から一蹴にされて拗ねていた。 どれほど姫香がこの家族から愛されているのかが見て取れて、この家族の一員になるのだと思うと何だかこそばゆくなる。 居心地がよく長居をしてしまいそうだったが、今日の一番のメインイベントは婚姻届を提出すること。 ふと時計を見れば16時を回っていて、徹平は慌てて姫香を促した。 「徹平くん。姫香をよろしくお願いします。」 「もちろんです。今日はありがとうございました。また改めて伺います。」 徹平が頭を下げると、 「徹平くん。『伺う』じゃないよ。『帰ってくる』だよ。今日から僕達も親子なんだからね。」 そんな優しくて暖かい言葉が降ってきて、徹平と姫香の胸が喜びと嬉しさでキュッとなった。
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