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「受理いたします。おめでとうございます。」
「……」
『ありがとうございます』とも言えないほどの事務的な口調に何も言えなかった。
そりゃウエディングソングに盛大な拍手に暖かな祝福なんてして欲しいわけでもない。
それでも、もう少し愛想よく言ってくれないもんかな?
胸を高鳴らせながらやって来た役所の受付。
二人で並んで婚姻届を提出したけれど、現実はこんなものか…。
複雑な表情で徹平を見上げると、全てを悟ったかのように微笑んでくれた。
「物足りないんでしょ?」
「…何だが呆気なくって。こんなものなの?って思っちゃいました。」
「だと思った。じゃ、行くよ。」
「えっ?どこに?」
「いいからおいで。」
キュッと繋がれた手を少し強引に引かれて、姫香は頭にクエスチョンをたくさん浮かべながら着いて行った。
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