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「案内してもらえないのかな?」
そう言って促すと、スタッフは慌てて『こちらへどうぞ』と歩き出した。
ふと視線を感じてその先を見ると、刺すような目で俺達を見ている女性スタッフ。
忘れもしない、例の女だ。
その視線を受けながら、あえて姫の手を取り、
「ほら、おいで奥さん。」
そう言ってとびっきりの笑顔を姫の向けると、真っ赤になった姫の頬と周りの凍るような反応に大満足だ。
席に座ると即座に姫が前のめりになりながら俺に問いかける。
「徹平さん、ここに来たことあるんですか?」
「ん?なんで?」
「だっておかしいですよ。みんな敵意と怯えでいっぱいだもの。私一人のせいじゃないことくらい明らかです。」
「あー、そうだねぇ。ま、周りなんて姫の気にすることじゃない。姫は俺だけ見てれば問題ないから。」
「でもっ…」
「それよりも。今日ここに来た理由、知りたくない?」
突然話を変えた俺の言葉にぐっと詰まる姫表情は堪らなく可愛い。
「知りたい…」
知りたいことが山ほどあるのだろうが、きっとこれが一番のはず。
ぷくっと頬を膨らまし唇を窄めたそこに早く触れたくて、話なんてどうでもいいと思うことくらい許して欲しい。
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